「非モテのテロリズム」

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ビタです。
ちょい、気合が入っているw
。。と言っても、他人様の文章を打ち込むだけだけど。


>橘玲さんの『無理ゲー社会』
その第6章、「「神」になった「非モテ」のテロリスト」から。



女の性愛競争はラノベや少女マンガなどで繰り返し描かれ、よく知られて
いるが、恋愛市場における男の競争は最近まではほとんど関心をもたれ
なかった。その理由は、女が(比較的)平等に男に「分配」されてきた
からだろう。男女がほぼ同数で、一夫一婦制を徹底するなら、原理的に
すべての男が女を獲得できる。これは近代以前も同じで、日本のムラ社会
では、男も女も親が決めた相手と結婚する以外の選択肢がなかった。ハー
レムを許されるのはごく一部の特権層の男だけというのも世界共通だ。



一夫一婦のルールが歴史的にも世界的にも広く観察されるのは、男にとって
性愛は死活的に重要なので、一部の男が女を独占しようとすると殺し合い
になるほかないからだ。この原則は旧石器時代から社会に埋め込まれており、
男たちは徒党を組んで女たちを支配し、分配してきた。



近代になって一夫一婦制が徹底されるのは、国家が国民を徴兵し、戦場に
送るようになったからだろう。国家のために命を賭ける代償として、国家が
若い男たちに「女の平等な分配」を約束したのだ。



だがこうした分配機能は、長い平和とリベラル化によってちからを失って
いく。戦争がなくなれば(あるいはドローンやロボット兵が戦うように
なれば)、若い男を動員する代償は必要ない。誰もが「自分らしく」生きる
ようになれば、親や中間共同体が結婚相手を決めることもなくなる。「自由
恋愛」という言葉は恋愛が不自由な時代だからこそ意味があったわけで、
いまや完全な死語となった。



女を男に分配する社会の機能が失われると、恋愛の本質である「男は競争し、
女が選択する」が顕在化してくる。その結果、アルファをめぐる女たちの
競争がより熾烈になるとともに、早ければ思春期の前半で恋愛市場から
脱落してしまう男が現れた。これが「モテ/非モテ」問題だ。


(中略)



ひとはさまざまな理由で追い詰められることがある。だがほとんどのひとは、
無差別殺人などは起こさない。当然のことながら、非モテの男がすべて
犯罪者予備軍だなどということはない。



その一方で、世間を震撼させるような犯罪のほとんどは、なんらかの鬱屈を
抱えている男が起こすことも間違いない。秋葉原無差別殺傷事件、やまゆり
園事件だけでなく、川崎市登戸の通り魔事件、京都アニメーション放火殺人
事件など、事件の動機はそれぞれちがうだろうが、犯人はいずれも現代社会
において「自分らしく生きられない」男だ。



こうした者たちを、評論家の御田寺圭は「大きく黒い犬」と呼び、社会学者
ジークムント・バウマンは「人間廃棄物(wasted humans)」だとした。
彼らはリベラルな社会にとっての”恥部”であり、これまで「存在しないもの」
として扱われてきた。「非モテのテロリズム」は、その屈辱的な扱いに
対する(無自覚の)異議申し立てである。


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