「天上から地上に登る」

。。


ビタです。


「天上から地上へ登る為に無残にも折れた梯子である」という言葉は、芥川
自身に当てはまると思われることで、キリストに託して自分の最期を述べた
ものと思われる。「天上から地上へ登る」という表現につき、普通は「地上
から天上へ登る」というはずなのに、逆のことが書かれているため、芥川の
書き間違いではないか、あるいは誤植ではないかなどと、当時議論を呼んだ
という。
「西方の人」に芥川自身の自伝の要素を読み込もうとする筆者からすれば、
この表現は芥川の本心を告白したものと受け取れる。それは、統合失調症
およびその近縁の病態ないし人格をもつ人のあり方を鋭く示している。
彼らは、純粋な天上的なもの、穢れのない自然世界に親和性をもち、これが
彼らには本性からして似つかわしい住む場所であり、邪悪さと虚偽性に
まみれた世俗世界には異質感を覚え、自然な仕方では参入しづらい。その
ため、彼らにとって一般社会で生きることは「天上から地上に登る」試練を
意味し、その「梯子」をいかにしつらえるかがこの世で生き抜くための
必要条件となる。


。。老年精神医学雑誌、2008年5月号。。斎藤正彦先生の論文。。に、
↑このような自筆のメモがはさんであった。。加藤敏先生の、この2008年
前後の論文から、書き写したものだ。。と思う。


もう、15年前。。懐かしい。

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